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クリチバの都市づくり

 10月6日、都市環境デザイン会議国際委員会工学院大学建築系学科共催による下記の講演会を聴いてきました。
講演会ポスター
講演者:中村ひとし(元クリチバ市環境局長、元パラナ州環境局長、現在クリチバ市顧問)
講演題目:「クリチバ市環境局長がみたジャイメ・レルネルの都市づくり
日時:10月6日(木)18時30分〜21時
場所:工学院大学新宿校舎11階第5会議室 

 中村ひとしさんは、日本で生まれて大学卒業後ブラジルに渡り、ほどなくクリチバ市に採用され、有名なジャイメ・レルネル市長のもとで、都市づくりや環境の分野で大活躍された方です。

 中村さんの謙虚なお話ぶりとは裏腹に、確かな実践に裏付けられた直言的なメッセージは、豊かな国・日本の都市計画や環境の貧しさを痛烈に批判するものでもありました。20年以上も日本の都市計画で仕事をしてきた私にとって、本当に衝撃的な講演でした。

 以下、自分のための備忘録です。記録の間違いなどありましたら、ごめんなさいです。
○なぜレルネル市長の目にとまったか
 公園の造りかたや考え方が「日本的」であり、自然に合わせながら都市をつくるという手法が、西欧の手法とは対照的だった。私の空間づくりがレルネルの哲学にぴたりとあったのだ

○レルネルのめざす都市づくりとは
 人を大切にする都市づくりだ。都市は人間のためのもの。人が住みやすいまちとは、環境にやさしい都市であり、サスティナブルな都市である

○ブラジリアとクリチバ
 ブラジリアは計画都市として有名だが、用途地域(ゾーニング)がはっきりとした、車中心の都市づくりを行った
 一方、クリチバは人が中心で、車を使わなくてもすむ街づくりを行った

○団子状の都市とライン状の都市
 クリチバの都市づくりは交通計画と一体である
 都市は普通団子状に発達していく。クリチバは意図的に都市をライン状に発達させた
 その手段が、バス専用レーンによる急行バスの運行である。バスレーン沿いに限って高度利用が許される。用途地域と交通計画を一体化したから、今日のクリチバができた

○チューブステーション
 人々がバスを利用するのは、バスが渋滞もなく運行が確実で、便利だからだ。バス停での乗降時間を短縮するために、電車のようにプラットホームに入るときに料金を徴収し、フラットに乗車できる「チューブステーション」を設けた。バリアフリーを、バスではなくバス停の方で対策しているのだ

○公園をたくさんつくった
                 人口   一人当たり公園面積
1970年    70万人    0.60平方メートル
1992年  150万人  50.15平方メートル
2005年  170万人  55.00平方メートル

○公園用地は無償で市のものに
 これほど多くの公園を短期間に整備できたのは、石切場跡、工場跡地、不法占拠地など、放置された空間を再利用したからだ。低未利用地の地主に約3割の土地を市に寄付してもらう。その代わり、市は公園を整備し、周辺の土地の住宅地開発を可能とするゾーニングを与える。公園が整備されると、周辺は高級住宅地となるから、地主も儲かる。儲かった例を見れば、次から次へと寄付しようという地主が現れる

○環境教育の重要性
 一般には環境教育とは自然保護教育だと考えられている。クリチバでは、都市生活を環境教育の場と考えた

○ゴミでないゴミ
 できるだけゴミをなくすこと、ゴミの中にゴミとして捨てるべきでないものがあり、それはしっかりと分けなければならないことを、子供たちにしっかりと教える。子供は正義感に燃えているから、親がいい加減にゴミを処理しようとすると、親をしかるようになる

○スラムでのごみ買いプログラム
 ブラジルのスラムには、ゴミ収集車も入れないし、ましてや市の職員など立ち入ることができないところがある。そんなスラムにゴミが堆積している状態が続いていた。人々は極端に貧しい。そこで、ゴミを集めて持ってくると食料と交換するプログラムを実行した。結果は大成功だった

○シンプルなプロジェクトが成功する
 このようにシンプルな、市民に分かりやすいプロジェクトが成功する

○クリチバ市民は誇りをもっている
 こうして現在では、実に96%の人々がクリチバ市民であることに誇りを持っていると答える立派な都市になった

○地域の特性にあった都市づくりを
 クリチバの例を他の都市でそのまま適用しても、おそらく成功しないだろう。地域の特徴を把握した上で、そこに適合した都市づくりを考えることが必要だ

○分別ゴミの呼び方
 日本では市民を敬う気持ちが欠けている。「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」というのは処理する方の都合によるネーミングだ。再生可能かどうかで分別するならば、もっと別のネーミングを考えるべきではないか

○大手術よりも鍼治療を
 都市について完璧なプロジェクトなどあるか。完璧を期して、慎重な調査を何年も重ね、いざ実行というときにはもはや手遅れになる場合が多い。大手術で完璧な治療を企てることよりも、いちはやく患部に針治療を施したほうが有効なこともある。結果を出せば市民が援護する。100%でなくて50%でも、とにかく早くやることが肝心だ


 クリチバの街の様子については、後藤太一さんのホームページの中の「世界の街づくり見聞録」の
が参考になります。


まいじょ * 海外の都市計画 * 15:09 * comments(1) * trackbacks(0)

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コメント

ぜひ 講演をお聞きしたかったです。私は 現在Hanoi市に 住んでいます。旧い人はこれでもよくなったと言いますが 私には 耐え難い汚い町です。 国民性なのか急激過ぎる 近代化なのか 原因は 分かりませんが 「都市の鍼治療」が 必要に思います。具体的処方など を詳しく
本書を読みたいと思いました。そして ベトナムの若い世代に伝えたいと思っております。ベトナム語には 翻訳されているのでしょうか?
Comment by 池内誠 @ 2008/11/14 1:13 PM
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